金融仲介機能のベンチマーク

平成28年9月15日、金融庁は、
「金融仲介機能のベンチマークについて ~自己点検・評価、開示、対話のツールとして~」
http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20160915-3.html
という資料を発表しました。

中小企業と金融機関が対話をするためのツールとして、以前「ローカルベンチマーク」が公表されましたが、今回の「金融仲介機能のベンチマーク」は、この「ローカルベンチマーク」と関係があります。

 

ローカルベンチマークについてはこちらから

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

 

両ベンチマークは、ともに自己診断のツール、すなわち、ローカルベンチマークは中小企業が自ら作成し、金融仲介機能のベンチマークは、金融機関が自ら作成するものとなっています。

ローカルベンチマークによる中小企業と金融機関が対話することを通じて、地域の中小企業の成長若しくは再生の成功事例を抽出し、金融仲介機能のベンチマークにより金融機関と金融庁が対話することを通じて、この成功事例を取りまとめ、全国規模で普及させていこうという流れです。
以前、弊社ブログでも採り上げた書籍「捨てられる銀行」を読むと、今回の発表も含めた金融庁の一連の施策の流れをより理解することができますが、

不良債権問題と金融危機の収束を中心課題とした2000年代前半までの時代から、現在は、過去の一時点の健全性の確認ではなく、将来に向けたビジネスモデルの持続可能性があるかが問われる時代に変化していることを踏まえ、「ベストプラクティスの追求に向けた対話」の充実を図ることに金融庁の姿勢がシフトしていることの現れです。

 

金融仲介機能のベンチマークとは

ではこのベンチマークはどのようなものなのでしょうか。

具体的には、『全ての金融機関が金融仲介の取組みの進捗状況や課題等を客観的に評価するために活用可能な「共通ベンチマーク」と、各金融機関が自身の事業戦略やビジネスモデル等を踏まえて選択できる「選択ベンチマーク」を提示している。
これらに加え、金融機関において金融仲介の取組みを自己評価する上でより相応しい独自の指標がある場合には、その指標を活用することも歓迎したい。』となっています。

 

共通ベンチマークが3項目、5つのベンチマーク
選択ベンチマークが14項目、45のベンチマーク
となっており、具体的には下表のとおりです。

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このベンチマークの影響

このベンチマークが及ぼす影響については、いくつか考えられます。

・金融機関としては、自行がメイン取引を行っている先で、ベストプラクティスを実施している企業について、積極的に公表するインセンティブが生まれます。これにより中小企業としては、取引金融機関から、より付加価値の高いサービスを受けられる可能性が高まります。

・自行で作成したベンチマークを公表することで、取引先に積極的に支援している金融機関が企業側から見ても分かるため、企業側から付加価値サービスに積極的な金融機関にアプローチし、付加価値の高いサービスを実施している金融機関の取引が拡大する可能性があります。

・メイン取引先数が少ない、及び、メイン取引先の割合が小さい金融機関については、貸出し以外の付加価値を取引先に提供していない限り、存在意義を問われる可能性が高まります。そうなりますと、単独で生き残る価値がある金融機関なのか、他の有力金融機関と合併することが望ましいいのではないかという議論が生まれるのではないでしょうか。

・外部専門家と金融機関の連携が促進する可能性があります。外部専門家の活用が見込まれる項目としては、
28.中小企業に対する専門人材の紹介数
40.外部専門家を活用して本業支援を行った取引先数
41.取引先の本業支援に関連する外部人材の登用数
43.取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数
が考えられ、ローカルベンチマークを運用することも含め、外部専門家と連携した方が、自行の生き残りにプラスになると考える金融機関が増えていくことが予想されます。

 

 

まとめ

地域の中小企業と金融機関はパートナーであるという考え方が今後、より重要になっていきます。

より直接的な言い方をすれば、「金融機関は、地域のどの企業にお金を貸出し、自社の食い扶持を確保するのですか?」

という個別具体的な議論を深めていく必要があります。

地方において、今後、起業が加速し、地域経済が勝手に発展していくことは考えられません。

そうなると、地域の中堅企業をハブとし、その周辺企業を集積させることで、地域経済を組立て、その集団の中に金融機能を提供することで生き残りを図ることが地方の金融機関に求められる役割となります。

そこには、取引企業のライフサイクルという概念を導入することは必要不可欠ですし、成熟期にある産業で稼ぎながら、新たな産業を地域内で育て、次代に備える必要があります。
また、衰退期にある企業については、地域内の力ある企業と合併させることで、地域が一体となって事業承継に取り組んでいくことについても、取引金融機関の役割の一つとなっていくことでしょう。

地域金融機関には、地域全体を見渡した俯瞰的な経営が求められ、場合によっては、地方行政と金融が一体となり、外部の有識者を交えて取組みを進めていくことが望まれますが、そのような試みができない金融機関については、単独で生き残ることが難しい時代になっていきそうです。

また、ローカルベンチマーク、金融仲介機能のベンチマークを運用する大きな理由としては、「正解のない時代」が色濃くなっているという金融庁の危機意識があります。

地方の高齢化、過疎化が加速する日本において、どのようなことをすれば、地域経済が活性化するのか、そのことを皆で考えていこうという決意の現れが一連の金融庁の発表資料から伺いしれます。

弊社も中小企業金融に携わる外部専門家として、この課題について、一定の役割を果たすことができればと考えており、取引がある金融機関からいろいろ話を聞く中で、今後の動向について見極めて参ります。

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