捨てられる銀行

「捨てられる銀行」という新書が2016年5月に発売されamazonの金融のカテゴリーで1位となっていました。

内容はというと(amazonより抜粋)

「2015年夏に就任した森信親・金融庁長官の真意を知ろうと、いま金融機関のMOF担はじめ多くの銀行関係者は右往左往している。もともと不良債権処理のために整備された金融庁による金融検査の手法が一変しようとしているのだ。森長官に密着する金融庁担当記者がそのすべてを明らかにする。」

という地域金融にまつわるこれまでと今後の動向を追ったものとなっています。

 

現在、事業性評価、経営力向上計画、ローカルベンチマーク、等、地域金融機関と地域の中堅中小企業がどのようにコミュニケーションをとっていくかについて、金融庁からいくつか指針が発表となっていますが、このような指針を発表した背景等、分かり易く解説されています。

特に、「金融検査マニュアル」と「信用保証制度」がもたらした弊害については、今後の中小企業金融の方向性をアナウンスする金融庁のスポークスマン的な役割を担っている書籍とも取れる書き方となっています。

 

 

ところでタイトルの「捨てられる銀行」。

目を引くタイトルとなっていますが、本書の下記部分が反映されてのものとなっていますので、その箇所を抜粋させて頂くと・・・

 

『ある地銀の話だ。

ある医療法人が地元の地銀2行に利益改善策を提案するよう求めた。

すると、A行は医療法人に対して試行錯誤しながら改善提案をしてきた。

もう一つのB行は、貸出残高ではA行を上回るメインバンクであったが、支店長が医療法人からの依頼を甘く見たのか、要請を放置した。営業目標への貢献にも繋がらないからだろう。余計なコストを負いたくないという思いもあったろう。

しばらくして、医療法人からB行に通告が入った。

借り入れている全額をA行に移すと。

メインバンクの交代だ。

しかも地域金融の支店においては看過できる融資額ではない。文字通り激震が走った。

思わぬ医療法人の行動に面食らったB行は慌てて本部に報告し、本部から担当役員が飛んできて医療法人に謝罪し、メインバンク変更の見直しを求めたという。

それでも医療法人は、クビを縦に振らなかった。

事態の重大さから、後日、ついにB行の頭取自らが医療法人を訪問したという。B行としては最大限の誠意を示したつもりだろう。

B行の頭取は医療法人の理事長に対し、

「どうか考え直していただきたい。そうでないと私は支店長を更迭しなければならなくなる」

と、支店長のクビはあなたの一存にかかっていると言わんばかりに理事長へ翻意を促した。

すると、理事長はため息をついて言った。

「あなた方はいつもそうだ。何も分かっていない。顧客の方を見ていない。私は利益改善提案をお願いしたのに、提案はせずに、いまだに部下を更迭せざるを得なくなるとか、困るとか自分の話ばかりされる。私たち客には何ら関係のない話だ。だから私はメインバンクを変更するとお伝えしたのです。」

こういう信じ難い話が地域金融の現場で数多く起きている。

笑い話では済まない。

顧客と語る言葉を失い、「捨てられる銀行」となりつつあるのだ。』

『捨てられる銀行』   橋本卓典 p247-249

 

 

この部分、銀行にしてみれば、厳しい話かもしれませんが、企業側から見れば、興味深い対応です。

 

銀行に利益改善提案の提出を依頼する企業はほとんどないでしょうし、銀行に依頼しても無駄だと思っている経営者がほとんどでしょう。

 

しかし、財務内容が良好で、銀行取引についても見直しをかけたいと考えている企業にとっては、銀行に対する面白いアプローチ方法です。

 

うまくいけば、有効な改善提案を受けられるかもしれません。

 

逆に言えば、法人融資を取り巻く環境は、このような提案ができなければ、優良企業と取引を継続できない借り手有利なものとなっています。

 

経営者は、もう少しだけ取引金融機関の知恵に期待し、アドバイスを求めてもいいのかもしれませんし、金融機関側はこれに応えられるよう企業を見る目を養う必要がありそうです。

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