ものづくり・商業・サービス革新補助金にかかる所見

平成26年度補正「ものづくり・商業・サービス革新補助金」の1次公募が終了しました。

 

弊社においては、今回1次公募において、100社以上の企業様の支援をさせて頂きました。

 

採択の合否は6月末頃の発表とのことですので、申請書の書き方等については、合否を踏まえて振り返りを行いたいと思います。

 

ここでは、平成24年度補正、平成25年度補正、平成26年度補正と3年度にわたりこの補助金にかかわってきた弊社として、その政策の意義について、簡単に考察してみます。

 

すなわち、同補助金は、

「中小企業をどのようなものとして認識し(中小企業観、中小企業像)、どのような目的のために政策を発動するためのものか」

「実務に関わった者として、当初の認識、目的がどのように中小企業の現場に反映されているか」

を振り返ってみたいと思います。

 

 

1.同補助金の目的

同補助金は、
『国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援機関等と連携して、革新的な設備投資やサービス・試作品の開発を行う中小企業を支援します。』
という内容になっています。

 

革新的な設備投資やサービス・試作品の開発を支援することが、この補助金の目的となります。

この前提となる中小企業観とは、
1999年に全面改正された中小企業基本法における基本理念(第3条)、

 

『中小企業については、多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供し、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより我が国の経済の基盤を形成しているものであり、特に、多数の中小企業者が創意工夫を生かして経営の向上を図るための事業活動を行うことを通じて、新たな産業を創出し、就業の機会を増大させ、市場における競争を促進し、地域における経済の活性化を促進する等、我が国経済の活力の維持及び強化に果たすべき重要な使命を有するものであることをかんがみ、独立した中小企業者の自主的な努力が助長されることを旨とし、その経営の革新及び創業が促進され、その経営基盤が強化され、並びに経済的社会的環境の変化への適応が円滑化されることにより、その多様で活力ある成長発展が図られなければならない』

 

をそのまま反映させたものとなっており、審査項目においても、上記基本理念に準拠したものとなっていることがわかります。

 

しかしながら、補助金にチャレンジした企業を見てみると、この認識と目的から少し外れたところに中小企業のニーズの大半があり、かつ、中小企業が望む革新性とはなんなのか考えさせられる機会が多いという実感を得ています。

 

2.同補助金を実務の現場から見た、認識と目的

 

中小企業をどのように捉えるのかという点について、同補助金に参考となる記載が下記ページにありました。

「中小企業政策は何を目的とするのか」~中小企業政策とその思想の変遷~

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h25pdf/201310901.pdf
この中から、興味深い箇所を抜粋すると・・・(p.23)
 

『また、中小企業政策像ないし政策思想は、これらの4類型に限られるものでもない。
これらとは異なる中小企業政策像ないし政策思想が主張されたり、明示的に主張されずとも意識されている場合がある。
例えば、次のようなものである。

ⅰ)社会政策の対象としての中小企業

中小企業問題を経済問題ではなく社会問題として捉えるもので、かつての貧困層を形成する生業的零細個人事業者の救済に限られず、企業経営という性格の弱い小規模事業者への支援も含まれる。
二重構造論と重なる部分もあるが、二重構造論はあくまで経済論であり、それに基づく政策も経済政策の範囲に限られると考えられる。
また、構造不況業種や地域、あるいは自然災害の被災地の中小企業に対しる緊急避難的な支援は、社会政策的な性格を持つ。

ⅱ)大企業の揺籃としての中小企業

ソニー、パナソニック、ホンダ等も創業時は中小企業であったとして、将来、大企業に成長する可能性を持つものとしての中小企業を評価する考え方である。
ベンチャー・ビジネス論や中堅企業論とも重なるが、後二者は必ずしも大企業を目指すものではないことは、上述した。

ⅲ)サポーティング・インダストリーとしての中小企業

主として大企業が生産する航空機・自動車・電子機器等の高度な工業製品の生産等には、それを支える部品の生産、特殊な加工、関連サービス等を担う中小企業の存在が必要不可欠とするものである。
あくまで大企業等の存在が前提とされていることが特徴である。

ⅳ)ソーシャル・ビジネスの担い手としての中小企業

高齢者・障害者・育児・貧困・健康・環境・まちづくり・途上国支援等の社会的課題に行政サービスやボランティア活動ではなく、ビジネスとして対応しようとする中小企業である。

ⅴ)もうひとつの生き方の場としての中小企業

大企業を中心とする経済・社会、管理者会、性・学歴等による差別、都市化、既存の価値観等に否定的である、あるいはなじめない者がもう一つの生き方を目指し、創業者や従業員として中小企業にその仕事の場を求めるものである。
上述のⅳ)と重複する場合もある。

 

これらは単独で中小企業政策思想の中核となるものではないが、中小企業政策の目的を一元的にではなく多元的に捉えて初めて全ての中小企業に存在意義と発展可能性を与えることができ、
経済と社会の安定を実現できると考えれば、上述の「経済民主化・自由競争原理」、「二重構造論」、「技術や経営に独自性を有するやる気のある中小企業」と変化し、これに「地域や生活を支える中小企業」を加えた政策思想の4類型に、これらの政策思想も併存し得るものと考えられる。』

 

今回、同補助金のニーズがあった企業、特に製造業の大半は、上記分類において『サポーティング・インダストリーとしての中小企業』に該当する企業です。

 

これら中小企業は、高い技術力と、高度な設備を有し、航空機・自動車・電子機器等の工業製品の製造を支えています。

 

特に、日本の製造業で現在、力がある産業分野である、自動車産業は勿論のこと、コネクタ等の電子部品分野(日系メーカーが技術的優位性を確立しており、日本の限られたメーカーだけで世界シェアの12%を制する)が、弊社で対応させて頂いた同補助金公募企業の大半を占めました。

 
同補助金の中小企業観と目的を振り返って考えたとき、日本の産業競争力の源泉は、これら『サポーティング・インダストリーとしての中小企業』が、所属する業界の技術動向や、完成品メーカーの望む技術開発に常に注意を払い、これに対応するための設備投資やノウハウの蓄積を日夜図り、サポーティング・インダストリー企業間での競争を繰り返しながら、国内の技術を産業分野全体で底上げしていく仕組みが出来上がっているように感じます。

 

つまり、同補助金が寄与している設備投資のタイミングが、『サポーティング・インダストリーとしての中小企業』に委ねられているがゆえに、自動車産業で言えば、完成車体メーカーの技術動向に呼応した形で、様々な投資が、様々なタイミングで実施される。
 
結果、各企業の意思決定の総体が、国内の自動車産業、電子機器産業全体で見た時に、多様な方向性で小さな技術革新が数多く蓄積され、産業全体の競争力を高めているということでしょうか。

 

Iphone等の革新的な製品を生み出すことも日本経済を活性化させる上で必要なことかもしれませんが、世界を大きく変えるような革新的な製品を生み出すことは、政策の後押しがあったとしても、実現させることは困難でしょう。

 

しかしながら、同補助金が寄与したような、『サポーティング・インダストリーとしての中小企業』の技術力向上に寄与する政策を実行することは、本来の同助成金の主旨である革新性という面においては、十分な効果は上がらないかもしれませんが、国内製造業の国際的な競争力強化という点において意義のあることです。

 

これらの成果は、トヨタをはじめとした完成車体メーカーや航空機、電子部品メーカーの好業績、国際的な競争力強化という形で、国内に還流され、結果、『サポーティング・インダストリーとしての中小企業』の事業継続、発展に寄与するものでしょう。

 

真の革新性とは、補助金の計画書だけでは実現できませんが、複数の企業の計画の複合体が、次世代の自動車やデジタルデバイスにつながるという意味において、同補助金は、真に産業の革新に資するものとなっているのではないでしょうか。

 

同補助金の目的を考えた際、実務の現場から、このようなことを考えていました。

 

 

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